どこまでが「真実」なのかというその境界線はともかく、物語としては特に目新しい展開を見せるわけでもないし、展開にいまいち関係ない作者が取材で得た情報が唐突にぽーんと書かれたりするので、どちらかといえばルポルタージュを読んでいるような気分でした。前半が幼児売春の実態で後半がNGO活動の難しさという構成ですが、フィクションという形態であるからこそ特に後半は面白味がなかった。幼児売春の実態については、一部を除けばまあ以前にも聞いたことがあるような内容。
ラストに出てくるとある一文が気になりました。あれは作者の実感でしょうしそのこと自体については反論すべくもありませんが、作中の文章としては不必要だと思います。その部分を何度読み返しても前後とのつながりがわからないんだもん。
技術的なことを言えば、文体がどうしても好きになれなかったです。基本的に地の文は第三者目線なのでしょうが、複数の登場人物のモノローグまで一緒に織り込まれてしまっていて何とも読みにくい。つまり、数行ごとに主体が変わっているような印象を受けるのです。あれなら場面ごとに主体になる人物を誰か一人に定めて、その人物目線でのみ文章を展開させた方が読みやすいと思うけどなあ。