JUNO/ジュノ
JUNO/ジュノ
ジェイソン・ライトマン監督
(京都シネマ)

エレン・ペイジ
マイケル・セラ
ジェニファー・ガーナー
ジェイソン・ベイトマン

 アカデミー脚本賞を受賞したということで期待して見に行ってきたのですが……確かにストーリーは非常によくできていた。だけど、こと養子に関しては社会的・文化的背景が全く違うアメリカ的思考をすんなり受け入れることはできませんでした。

 私は日本でももっと養子制度を法的にも意識的にも開放になるべきだと考えているけど、それは養子を受け入れる体制のことであって、こういう状況で子供を作ってしまったジュノに関してはやはり単なる無責任だとしか思えなかった。産むと決めてすぐに里親先を探したことはむしろ褒められるべき点だろうけど、里親になる夫婦に対して「今は醜い猿みたいだけれど可愛くしてお届けするから」とのたまい、臨月にカフェテリアでジャンクフードをバカ食いするシーンはぞっとした。もっともこれらは母親にはなれないジュノの精神的な幼さを表現したまでかもしれないので映画のシーンとしては一概に弾劾できないけれど(精神的未熟といえば「子供が欲しければ中国行って買えばいい。iPodみたいにたくさんあるから」というセリフもその一端かもしれないが、本筋とは関係のないこの手の差別発言は非常に不快だわ)、とにかく何をするのも軽〜いノリで済ませてしまって呆れた。

 確かに当初の「いらないからあげる」「出来ないから貰う」からだんだん親になるという自覚が芽生えてあれやこれやあるのですが、結局出産の後にはモトサヤに収まった彼氏と新しい関係を〜って何それ。子供は厄介払いしたようにしか見えません。とにかく何でもポジティブシンキングなところがいかにもアメリカの青春ドラマでした。と言ってもどういう思考回路のもとにアメリカ人がこれを称賛するのか私には謎です。アメリカでこの台本の何がそんなに受けたか、それはジュノというキャラクターだ!とか言われても(゚Д゚)ハァ?です。まあ「やっぱり自分で育てる!」というオチにならなかったのはよかったけれど。

 そんな感じで主人公のジュノも理解しがたかったのですが、それ以上にいかんともしがたかったのが主人公の彼氏。自分の両親には言わないでくれ!とかひどいことを言いまくっていた印象しかないし、ころっと他の女に靡くし、子供に対して責任を感じているようでもなく、「全部終わったらまた一緒にバンドやろうよ」ってそれ何のジョーク? 里親の父親に関しては情けないなーとは思いつつもいるよねこういう人も…とむしろもっとも文化的相違による違和感を感じなかったキャラでした。

 個人的にはエコー技師に対して啖呵を切ったジュノの母親もまたいい感じがしませんでした。確かにエコー技師の言葉はジュノを遠まわしに侮辱するような内容だったかもしれないけれど、反撃するならもうちょっと知的にやってください。それに何も考えずに10代で妊娠したことには変わりないでしょ。まああの場で口を噤めばバカ扱いなのがアメリカ社会かもしれませんが…。

 ジュノの父親とヴァネッサは好印象。特にヴァネッサは心から「母親になりたい」と熱望していることがよく伝わってきてよかったです。ラスト、彼女がひとりで里親になったシーンは考えさせられました。家族の在り方は個人によって様々であるべきということでしょうか、しかしこのようなケース(乳児を独身者が養子とする)は日本では法律上認められていません。

 エレン・ペイジとジェニファー・ガーナーの演技は◎。特にエレン・ペイジは従来ならゴールデン・グローブ賞もさくっと受賞できそうなぐらいの熱演ぶりだったけれど、敵がエディット・ピアフじゃしょうがないね。

 ロック音楽にも興味ない私にとって音楽はあくまで単なるBGMでしかありませんでした。

ジュノ
 妊婦がその食事はヤバイ。

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