カンバセーションズカンバセーションズ
ハンス・カノーザ監督

ヘレナ・ボナム=カーター
アーロン・エッカート
ノラ・ゼヘットナー
エリック・アイデム

 「男はズルいロマンチスト、女は罪なリアリスト」、今更だけどそうだね。フランスで大ヒットしたというのがなんとなくわかる気がする。大してヒットしたわけでもないのにネット上にやたらと関連記事が多いのは東京国際映画祭で審査員特別賞と主演女優賞をとったためでしょうか。いわゆる大人向けの映画なのか、ネットのレビューを読んでいると若そうな子ほど評価が低いのが逆にわかりやすいなーと思います。冒頭見づらいと思った2分割された画面構成はすぐに慣れたけれど、ベッドシーンはAVみたいでちょっとイヤンだった。

 「カンバセーションズ」というタイトルなのに肝心の会話があまり面白くないのは、こういうほろ苦いシチュエーションを如実に表現していてむしろ現実的でしょう。未練たらたらの男と既に再婚しており未練を見せつつも現実が見えている女が10年ぶりに再会した元夫婦が一夜を共にする、というシチュエーションが面白おかしいはずがないのです。別れてからの彼はほとんど成長しておらず、一方でしれっとポーカーフェイスで次のステップに進んでいる彼女は過去は過去としてそれなりに気にかけていても、いちばん大事なのはやっぱり今の生活。女の私からすれば理解できるのは彼女の方かもしれない。

 別離の理由や彼女が妊娠した子がどうなったかなど劇中で触れられていませんが、主役のふたりはそれをすべて理解した上で演技をしたらしいので、ちょっとした表情の変化などの意味を考えだすとドツボにはまっていく気がしました。彼女は「3人とも私が産んだんじゃない」って言っていたけれど彼女の3人の子供のうちいちばん上の子は彼と彼女の子供なのかなあとか、彼と彼女の別れを気にかけていたという妹はそれを何とかとりなすためブライズメイドという理由を作って彼女に誘いをかけたのかなあとか、彼女のが遥々ロンドンからやってきたのは子供の父親の顔を見るため…と、ここまでくると流石に妄想の行きすぎかもしれませんが。この映画はぜひ続編が見たいです。ただし「ビフォア・サンセット」のように現在の彼彼女に未来があるとは思えないので(個人的にはあって欲しくない。過去は過去として時間に流されていくもの)、続編があるとしたら若い頃のふたりを主役にそえて過去のふたりに何があったのか探るそういうような視点がいいな。
 
 両論賛否の激しいデュアルフレームですが、販売用のDVDにはシングルフレームヴァージョンが収録されています。監督が正式にDVD特典として制作したもの。個人的にはこちらの方が好き。アーロンやヘレナのファンじゃない人ほど、こちらの方がお勧めかもしれません。
 
1. 「女の方はイギリス人。もしかしたらオーストラリア人かも?」
 もともとアメリカ人のはずなのに、知らない人からそのように間違われるほど長い月日が流れたということなのでしょうか(ヘレナがイギリス人だからとかいう大人の事情はなしで)。ちなみに英語がちゃんとわかる人の意見によると、最初の20分位はアメリカなまりのブリティッシュイングリッシュを喋っているけれど、部屋に入ったあたりから完璧はブリティッシュになってしまうらしい。そういう見方ができると面白いだろうなあ。

2. 邦題には「終わらせた恋の始め方」というサブタイトルがついていますが、これは余計なお世話ですね。しかも私の観点で言うと、このシチュエーションから始まるものは結局何もないと思うのですが。

3. 2分割場面とは残酷なもので、20代と40代の差が特にベッドシーンでは顕著でした…。いや、みんな通る道だからこそ残酷。彼の腹もアレですが彼女だってなー。だからこそリアルなのですが(一応フォローしておくと子供産んで1年かそこらなのにあの体型は実はスゴイと思う)。

4. ふたりの若い頃は今のふたりに似ているんですね。アーロン・エッカートは知らないんだけどヘレナ・ボナム=カーターの若い頃はノラ・ゼヘットナーとはぜんっぜん違うから不思議っちゃ不思議(ノラの方が現代的というか今の感覚で言うと可愛い)。ふたりとも長台詞が全く冗長にならないのは流石でした。今作に関しては一般的にヘレナの方がアーロンより評価が高いようだけど、私はアーロンの方がよかったと思う。


















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