非常に好きな作品です。これを見るためだけでもブルーレイが欲しい。きっと綺麗なんだろうなー。
製作年数12年といっても、ずっと作り続けていたわけではなく、構想が12年前からあったということらしい。パペットを使ったストップモーションアニメなのですが知らない人にはCGに見えるようで、「CGを駆使したハウルやコープスブライドがクレイメーションのウォルス&グルミットに勝てなかったのは当然」とかいう的外れな意見を見ると寂しいです(全体的なバランスとしてはウサギ最高でそもそも勝ち目なしなのは認めざるを得ない)。バートン特有のへんちくりんなキャラクターはもとより、ダニー・エルフマンの美しいピアノ曲も印象的でした。ミュージカルとしては今ひとつ耳に残るようなナンバーがなかったのが残念かな。「
ナイトメア・ビフォア・クリスマス」の"This is Halloween"みたいなやつ。
元ネタはロシア民話。単純で先が読める展開なのですが、予定調和すなわち面白くないという公式は成り立たないのでそこは別にかまわないのです。ただ主人公のヴィクターのキャラがヘタレで、状況に流されるばかりのひ弱い男になり下がっていたのが残念でした。ヴィクトリアにひと目惚れしたのは演出もよくてまあ納得できるけど、エミリーがなぜヴィクターを愛したのか全く説得力がありません。と言ってもエミリーはバーキス卿に惚れちゃうような子なので、ただ単に指輪を貰って嬉しかっただけかもしれませんが。ヴィクターの方は勘違いして落ち込んでいるときに側にいたのがエミリーだったというだけで、別にエミリーが好きだったわけじゃないしね。
ヘレナ・ボナム=カーターとエミリー・ワトソンの声や喋り方が好きな私にとってはヒロインふたりはこれ以上にない最高のキャスティングなんだけど、世間的には高評価らしい主役のジョニー・デップだけはどうしても馴染めませんでした。作り声で徹底的に顔が浮かんでこないのは事実にしても演技自体はいちばんダメじゃなかろうか…。ちょっと聞き取りにくい部分があったし、声質からして声優には向かないような気がします。彼がヴィクターを演じるべきだった最大の理由が「バートン作品だから」、に尽きる。ヴィクトリア役のエミリー・ワトソンのピュアな声がキャラによく似合っていました。"Marrige!"というあの瞬間がたまらなく可愛い。でも叫んだりするところはやや微妙だったかも。コープスブライド役のヘレナは声優慣れしているような演技で、レディ・トッティントンとは全く違う声でしたが、おそらくこちらは限りなく地声に近いと思います。まーあのキャラならむしろ地声でGO!でしょうが…。
バートンが「キャラクターが先に出来てキャスティングはそのあと、モデルがいるのは犬のスクラップスだけ」と語っていたけれど、他はともかくコープスブライドだけは嫁のヘレナにしか見えませんよ。というかさ、
ヘレナがモデルでないにもかかわらずこのツラをデザインしてみたっての、考えようによってはかなり変態的なんだけど。ヴィクターはジョニーよりエイドリアン・ブロディ。
ところで、
この主人公のヴィクターはティム・バートンの処女短編「ヴィンセント」の成長した姿らしいが、妄想好きの内気なオタク少年が成長してふたりの女に悩まされたってアレそれどっかで聞いたような話?という穿った見方をしたそこのアナタ、なんで声が…とか思いませんでしたか? 実はですね、当初バートンはヘレナにヴィクトリアを演じさせたかったんだけど、(私ゃパペットでも良家のお嬢様かよ!)と思った彼女は「コープスブライドがやりたい」と自ら申し出たらしいですわ。そこにどんな真意があったのかまでは知る由もありませんけど、だって
エミリーの顔はヘレナのまんまなんだし。