闇夜に浮かぶ光り輝く満月に心奪われたのも束の間、雲隠れ。再び現われるのを待っていたらいつの間にか夜が明けていた。

 人間たまには風流になるものです。

眺めのいい部屋眺めのいい部屋
ジェームズ・アイヴォリー監督

マギー・スミス
ジュディ・デンチ
ヘレナ・ボナム=カーター
ジュリアン・サンズ
ダニエル・デイ=ルイス

  「日の名残り」と並ぶジェームズ・アイヴォリーの最高傑作らしいですが、私は「ハワーズ・エンド」の方が(まだ)好きだなあ。良くも悪くも眠いことしきりのイギリス映画でした。監督のジェームズ・アイヴォリーはこれぞイギリスみたいな作品がお好きですが実はアメリカ人なんですよね、イギリス在住だとは思いますが。

 ルーシーの煮え切らない曖昧な態度はジョージが自分とは違う労働階級出身であるため。で、予定調和のラストと聞いていたので、てっきりルーシーはそのままセシルと結婚するのかと思っていたらしっかりジョージを追ってフィレンツェに行ってしまったことに驚き、そして「アンタのような腐った大人に「崖の上のポニョ」はきっと楽しめない」と言われたことを思い出しました。ポニョがどうこういう問題ではなく、予定調和と言われて駆け落ちがまったく思いつかなかった。予定調和といえば泣く泣く婚約者と結婚が王道でしょうが(その婚約者がいかにも当て馬だった「きみに読む物語」は別として)。それにしても眺めのいい部屋を予約しておいたのにとぶつくさ文句を言っていたかと思えば、「窓の近くによらないで、誰かに見られたらどうするの!」だってさ。お貴族様はどこの国も面倒臭いな。

 出演者ではマギー・スミスとダニエル・デイ=ルイス(上手いのなんのって!)が特に輝いていました。ジュディ・デンチは物語の大切な役回りだけど出番はほんのちょっと。マギー・スミスが今とあまり変わらないのに対してジュディ・デンチはけっこう若々しい。主演のヘレナ・ボナム=カーターとジュリアン・サンズはあらゆる意味で「若い」。ふたり揃ってデビュー早々の作品なので仕方ないのだろうけれど、途中辛いところがありました。でもジュリアンの声はセクシー。ヘレナは今の荒んだ感じの方がいい。

 個人的な好みではありますが、私はこのエドワード7世時代のスタイルが大嫌いです。男性のスーツはともかく、女性の方は何度見ても馴染めない。髪型なんてサザエさんにしか見えなーい。

 それから日本の映倫はいいかげんむやみやたらとモザイク細工をするのをやめてもらいたいです。男が全裸で行水するシーンに何の問題があるというの。それでも1985年当時はこのシーンをまるっとカットしていたらしいですからわずかながらに進歩しているともいえるのですが。芸術の許容に関しては未だ後進国ですね。

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