旅行が楽しいかと問われれば微妙である。案内役のいない個人旅行は、道はわからないし言葉は不自由だしひもじいし、辛いと思うことの方が多い。正直、帰国日が待ち遠しいのもしばしばだったりする。だが、そんな日々を過ごした旅の方があとに残る思い出は鮮やかで、1週間もすれば再び「どこか行きたい」と悶々しはじめるのだ。

 辛かった旅行の最たるものは、オーストラリアのバングルバングルツアーだった。40度を超える炎天下を1日中歩き回り、2泊3日の間シャワーは1度も浴びず汗で体を拭いてその上からその上から日焼け止めクリームを塗りたくっていたことは、今でも語り草である。

 バングルバングルに行こうと思ったきっかけは、オーストラリアを1周した人から「いちばんよかったのはバングルバングル」と勧めがあったから。実際に目にしたその素晴らしさは言葉で言い表すのが難しいが、蜂の巣模様の奇岩群はまさに自然のマスターピースで、「秘境」の名に相応しい雄大さだった。

 もう5年前のことになるが、西オーストラリア州のブルームからノーザンテリトリーのダーウィンまでを10日間かけて周ったことがある。この写真はその日程の最後に訪れたカカドゥ・ナショナルパークで撮った。世界遺産に登録されているカカドゥの自然は雄大で本当に美しかった。




 しかし、ここを訪れるすぐ前にオーストラリア最後の秘境と言われるバングル・バングルに入った私たちにとって、カカドゥの整備された自然がどこか物足りなかったのもまた事実である。たくさんの観光客が入っても大丈夫なように道路はコンクリート舗装されていたのだが、それに妙な違和感を感じたのを覚えている。


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